KUN勉強部屋

あるお客さんにいわれたことがあります。
「勉強していない美容師さんにやってもらいたくないわよね。」



一昨年ぐらいからリトル・サイエンティスト
掲示板で勉強を始めました。
大変わかりやすく勉強になり
とても大事な事ばかりなので
勉強したことをここにまとめて
行こうと思います。

乳化 縮毛矯正 ランチオニン結合


毛髪科学

毛髪は毛幹部と毛根部に大別されます。

☆毛幹部
髪は70%以上がイオウを含んだケラチンタンパクから成っています。

構造的にはキューティクル(毛小皮)・コルテックス(毛皮質)・メデュラ(毛髄質)3層構造になっています。

キューティクルの内側にあるのがコルテックスで髪の90%を占め、フィブリルという繊維の束と
フィブリル同士を接着するマトリックス(間充物質)を含んでいます。
メラニン色素もフィブリルの中に含まれています。

髪に芯にあるのがメデュラです。

☆毛根部
皮脂腺という器官をもつ毛包に囲まれています。

毛根部の一番下の膨らんだ部分を毛球といい、毛の成長に大切な毛乳頭を含んでいます。

☆メラニン色素
皮膚や毛髪に含まれています。

肌では表皮基底層。(表皮はネイルの検定試験に必ずでますーー)

毛髪では毛母に散在する色素細胞(メラノサイト)

アミノ酸の1つであるチロシンを原料としてメラニン合成酵素(チロシナーゼなど)の作用により酸化重合されて作り出されます。

メラニンが多いほど皮膚や毛髪は黒くなります。

髪の毛の色はメラニン色素の種類と量によって決まります。
メラニン色素が大きくなったり、量が多くなると光を吸収して髪は黒く見えます。
メラニン色素がほとんどないと、光の乱反射により白く見えます。

メラニン色素にはユウメラニン(真メラニン)フェオメラニン(亜メラニン)の2つがあります。
この2種類の量のバランスにより髪の色は決定します。
            ユウメラニン(真メラニン)→黒~褐色
            フェオメラニン(亜メラニン)→黄~赤色

         黒髪→フェオメラニン少  ユウメラニン多
         ブロンド→フェオメラニン少  ユウメラニン少

メラニン色素は毛髪の約4.5%以下です。0%になると真っ白に見えるようになります。

メラニン色素は紫外線(UV)から頭部や身体を守る働きがあります。


☆キューティクル
キューティクルは毛髪のダメージ大きく関わっており、毛髪内部の間充物質などを流出させない役割(蓋)と毛髪内部を守る(盾)の役割を持っています。

キューティクルはケラチンタンパクからできており、通常4~6枚


☆CMC(細胞膜複合体)
血管のような存在。
パーマ・カラーや水分の通り道。

CMCは3層構造。β層・δ層・β層

親水性のδ層(デルタ層)
非ケラチンタンパクやアミノ酸、NMF成分で構成。

親油性のβ層(ベータ層
脂質からなっている。

①水の出入りをコントロールする導水管
②キューティクル同士、皮質細胞同士の接着
水分保持
間充物質の流出を防ぐ

薬剤などによりCMCが損傷をうけ、なくなったりするとキューティクル同士をつなぐ接着剤がなくなるので剥がれていく。
キューティクルが剥がれると、毛髪内部の間充物質が流れ出てしまいます。


☆コルテックス
コルテックスは「しなやかさ」「弾力」を作り出している部分で皮脂細胞やCMCの集合体です。

○コルテックス・・・・皮脂細胞の集まり。毛髪の85%~90%
○皮脂細胞・・・・・・硬い性質のフィブリルが約35%~45%
            柔らかい性質の間充物質が約50%~60%
               皮脂細胞は細胞膜複合体(CMC)により囲まれている

○間充物質・・・・・・フィブリルの間を埋め、フィブリルとフィブリルを接着。


☆間充物質
間充物質にはフィブリルの接着剤としての働きだけではなく
①毛髪に水分とハリを与える
②間充物質の移動でパーマがかかる
③間充物質が染料を内部にとどめる                 などの役割

間充物質が流出すると、髪に艶やハリがなくなり、パーマやカラーの施術に支障をきたします。



タンパク質
髪は主にタンパク質でできています。
このタンパク質を分解していくとアミノ酸という小さな単位になります。
     アミノ酸が2~100個集まる→PPT(ポリペプチド)
     アミノ酸が100個以上集まる→タンパク質

人間の身体をつくるアミノ酸は20種類。その組み合わせにりょり約10万種類のタンパク質ができます。

人間の身体をつくるタンパク質は大きく分けて2タイプ。
①ケラチンタンパク
 髪、爪、肌の角質層、羽毛などに多い。硬くてもろいタンパク質。繊維状タンパク質。シスチンを多く含む。
  
②コラーゲンタンパク
 肌や内臓、歯、血管、角膜に多い。柔らかく保湿性が高いタンパク質。繊維状タンパク質。人の身体の全タンパク
の1/3を占める。

シルクタンパク
絹由来。繊維状タンパク。吸湿性が少なく緻密な皮膜をつくる。サラサラ感が高い性質。

小麦タンパク
小麦由来。繊維状タンパク。保湿性が高い。しなやかな皮膜性があり、艶、手触り感が高い。


☆毛髪の4つの結合
パーマ処理において毛髪の4つの結合のうち3つを切断し、しっかり戻すことが重要です。
水素結合
水に濡れると切断し、乾いた状態で再結合します。

イオン結合
-イオンと+イオンの結合。
髪が傷んでpHバランスが崩れると結びつきが切れてしまう。
pH4.5~5.5(等電点)は髪のイオン結合がとても安定した状態。
髪のpHがアルカリ性に傾くとイオン結合が切断されます。
髪には酸性アミノ酸(グルタミン酸、アスパラギン酸など)が多く含まれているため、髪の等電帯は弱酸性のpH4.5~5.5になる。
-イオンになるアミノ酸→グルタミン酸、アスパラギン酸(酸性アミノ酸)
+イオンになるアミノ酸→アルギニン、リジン(塩基性アミノ酸)

シスチン結合
システィン2分子が結合したもの。
1剤で還元、2剤で酸化

ペプチド結合
アミノ酸の基本的な結合。
髪の命ような結合。
この結合が切れてしまうと二度と戻らない。
過度のアルカリ剤、過酸化水素で加水分解されて切断。
断毛や枝毛の原因。


☆髪とpHの関係
キューティクルは酸性で閉じる。アルカリ性で開く。
髪はダメージを受けると、-イオンが多くなっていきます。
酸性に傾くと髪は+イオンが多くなり、髪が+イオンになると-イオンと引き合う。
アルカリ性に傾くと髪は-イオンが多くなり、髪が-イオンになるとプラスイオンと引き合う。


☆pHとは
pHは0~14までの値があり、真ん中のpHが中性、酸味の代表のレモンはpH2~3で酸性、石鹸水はpH9~10でアルカリ性。

パーマは水素結合、イオン結合、シスチン結合の3つの結合を切断、再結合。
すべてのシスチン結合が切られるわけではなく、強いパーマ剤でもケラチンタンパクのシスチン結合の約20%しか実際には切断されない。
2剤の酸化剤で戻せるのは、シスチン結合だけです。
pHを等電帯にし、髪をドライすることで、イオン結合と水素結合を元に戻します
ウェーブはこの3つの結合で作られているので、パーマ処理においては、この3つの結合をしっかり戻すことが重要。これが不十分だと、タンパク質の軟化、間充物質の溶出などによりウェーブの固定化ができず、ウェーブが取れやすくなります。髪の強度低下、水分低下にもつながります。

水素結合>イオン結合>シスチン結合>ペプチド結合の順で切れやすい


☆髪のダメージ原因
①カラー・パーマなどのアルカリ剤や還元剤などの成分によるケミカルダメージ。
紫外線を浴び続けることでキューティクルが損傷をうけ剥がれやすくなる。紫外線はメラニン色素も攻撃するので少しずつ髪の色も変わってしまいます。
③アイロンなどの熱により、髪はタンパク変性を起こしてしまいます。
④過度なシャンプー、ブラッシングなどによる物理的ダメージ。


☆ダメージの進行と対策
①pHがアルカリ性に傾くと進行→pHバランスを保つ、酸性にもどす。
②CMCの損傷による進行→CMCの補強、定着化。
③キューティクルの損傷→擬似キューティクル化。
④コルテックス内部の間充物質が溶出し空洞化→間充物質の補給と定着
⑤親油性から親水性への変化→親油性に戻す。


☆髪質
パーマのかかりやすさ、持ち具合
直毛   <   くせ毛
硬毛   =   軟毛
太毛   =   細毛
吸水毛  >   撥水毛

カラーの染まりやすさ、リフトアップしやすさ
直毛   <   くせ毛
硬毛   <   軟毛
太毛   <   細毛
吸水毛  >   撥水毛

ダメージしやすさ
直毛   =   くせ毛
硬毛   <   軟毛
太毛   =   細毛
吸水毛  >   撥水毛

水分保持力
直毛   =   くせ毛
硬毛   >   軟毛
太毛   =   細毛
吸水毛  <   撥水毛


☆くせ毛
くせ毛は毛根の影響が大きい
毛根が頭皮に対してまっすぐではなく曲がっていると、髪は曲がったまま伸びて、ねじれたくせ毛のなります。
曲がって生えてきた髪は、キューティクルの内側のコルテックスに、水を吸いやすいタンパク質と水をはじくタンパク質の2種類ができてしまう。
髪が水分を含むと、水を吸いやすい部分は伸びるけれど、水をはじく部分は伸びにくいというように、髪の中で伸び方の差ができてしまい、髪のうねりや縮みとなって現れる。

ドライの時に見えるクセがウェットにするとストレートになる場合は水素結合の影響が強いくせ毛

水素結合の影響が強いクセ毛は多くのシスチン結合を切る必要がないため還元力の強い薬剤を使う必要はない。
シスチン結合の影響が強いクセ毛の場合は還元力の強いタイプの薬剤を適用。

波状毛
波状に大きなウェーブが出るくせ毛。波状毛は一般的に髪の柔らかい人に多い。
捻転毛
うねりがスパイラル状に現れるくせ毛。
フェイスラインや生え際などの髪の細い部分によく見られる。
毛髪の断面が楕円や扁平になっているためねじれが起こり、髪の太さが不均一に感じる。
縮毛
毛根のゆがみによりランダムに縮れたくせ毛。
縮毛はタンパク質の配列が不規則なため断毛しやすく、特に細い縮毛は注意が必要。
髪の表面が凸凹しているため、手触りがザラザラ。

☆髪のデータ
健康で強い髪はおよそ100~150グラムの重さを持ち上げる力があります。
健康な長さ10センチの髪の場合、引っ張ると15センチぐらいまで伸びます

太さ         →       0.05~0.1mm
本数         →       10万本前後
強度         →       100~150グラム(コーヒーカップ1個分)
主成分       →       ケラチンタンパク
pH          →       4.5~5.5
化学作用      →       酸性に強く、アルカリに弱い。
熱の作用      →       110℃×10分間でもろくなる。180℃なら10秒間


☆界面活性剤
界面活性剤とは、2つの物質間の境界面に集まりやすい性質を持ち、その2つの物質間の境界面の性質をいちじるしく変える。

親水基(水に馴染みやすい部分)と親油基(脂に馴染みやすい部分)の両方を持つ物質で、油と水の境界(界面)に集まり界面張力を下げます。

油分と水分を細かく均一に混じり合わせる乳化作用、油性の汚れに吸着して水と共に流し去る洗浄作用のほか、浸透、分散作用などを持ちます。
 ◎アニオン界面活性剤
 ◎カチオン界面活性剤
 ◎両性界面活性剤
 ◎ノニオン界面活性剤

親油基と親水基のバランスによって界面活性作用が異なる。


☆シャンプー
洗浄成分として-の性質を持ったアニオン界面活性剤
         -と+の2つの性質を持った両性界面活性剤

イオン性の性質は親水基と呼ばれ、水と大変なじみやすくなっている。反対側は親油基と呼ばれ、油と大変馴染みやすい性質をもっています。この両極端の性質を1つの分子中に持っていることが界面活性剤の最大の特徴

洗浄のメカニズム(ローリングアップ現象)
  シャンプーの洗浄成分が汚れの表面に集まる親油基を油(汚れ)にくっつく
                    ↓
  さらに洗浄成分が集まると汚れは水中に引っ張られ、髪や頭皮からはなれる
                    ↓
  完全に汚れを包み、髪や頭皮に再びつかせない
                    ↓
  すすぐと洗浄成分とともに汚れも流れ去る

アニオン活性剤 活性剤の分類1 活性剤の分類2 全成分表示名 働き
高級アルコール系 ラウリル硫酸Na 洗浄力が高く、泡立ちも良好
ラウレス硫酸Na 洗浄力が高く、泡立ちも良好
ラウリル硫酸Naよりも低刺激性
αーオレフィン系 オレフィン(C14-16)スルホン酸Na 洗浄力が高く、泡立ちも良好
アミノ酸系 グルタミン酸系 ココイルグルタミン酸Na
ラウロイルグルタミン酸Na
アミノ酸(グルタミン酸)由来のアニオン活性剤。皮膚、毛髪に対してとてもやさしい低刺激性。洗浄力は強くなく泡立ちもあまりよくない。コンディショニング性が高く高価。
アラニン系 ラウロイルメチルアラニンNa
ココイルメチルアラニンNa
アミノ酸(βーアラニン)由来のアニオン界面活性剤。適度な洗浄力と脱脂力を有し、しっとりとした感触に洗いあがる
グリシン系 ラウロイルサルコシンNa
ココイルサルコシンNa
ココイルグリシンNa
アミノ酸(グリシン)由来のアニオン界面活性剤。温和な洗浄力と静菌力を有しており、歯磨剤から身体洗浄剤まで幅広く使用されている
タウリン系 ココイルメチルタウリンNa
ラウロイルメチルタウリンNa
含硫アミノ酸といわれるタウリンからつくられる活性剤。AMTとも呼ばれ、皮膚・毛髪にやさしい低刺激性の活性剤。
タンパク質由来系 ココイル加水分解コラーゲンNa コラーゲン等のタンパク質を加水分解して得られるポリペプチドを元につくられています。皮膚・毛髪に対してとてもやさしい低刺激性の活性剤。
スルホコハク酸系 スルホコハク酸ラウレス2Na 泡の持続性に優れています。他の活性剤と組み合わせると起泡力が増します。高級アルコールを原料としていますが、高級アルコール系よりも皮膚刺激がやや弱く、特に目に対する刺激が弱くなっています。
石けん系 アルカリ石けん系 オレイン酸Na
ヤシ油脂肪酸K
いわゆる石けんです。生分解性が高く、洗浄力があります。pHが高いため皮膚への刺激性があります。また、水の中のカルシウムイオンと結合してスカム(石のようなもの)をつくり、髪に吸着して毛髪がかたくなってしまいます。
酸性石けん系 ラウレス酢酸Na アルカリ石けんに類似した構造を持ち、生分解性が良く、適度な洗浄力があります。弱酸性なので刺激が緩和されています。
アミドエーテル硫酸系 PEG-3ヤシ油脂肪酸アミド
MEA硫酸Na
高級アルコール系とほぼ同等の泡立ちの良さがありながら、アシルメチルタウリン系(AMT)に構造に類似しており、皮膚刺激は高級アルコール系よりも弱くなっています。酸性でも折出しにくいという特徴があります。
両性活性剤 ベタイン系 アミド型 ラウラミドプロピルベタイン
コカミドプロピルベタイン
高発砲性、低刺激性を有する両性界面活性剤。アニオン活性剤との組み合わせにより優れた増粘・増発砲性を示します。
イミダゾリウム型 ココアンホ酢酸Na 特に目に対する刺激が低い両性界面活性剤で、ベビーシャンプーなど、低刺激性洗浄剤の基材として使用
アミノ酸系 ラウリミノジプロピオン酸Na 両性とアミノ酸系の両方の良い点を持ち、目・皮膚への刺激が少ない、低刺激性の活性剤です。


☆トリートメント
カチオン(+のイオンを持った)界面活性剤と油剤(油分)、コンディショニング成分が入っています。

カチオン界面活性剤は、自分の持つ+の性質によって髪の-部分に強く結合します
+の手の反対側は親油基と呼ばれ、油と同じ構造になっています。
同時に油分が薄く付くので、毛髪全体が油の膜で覆われたようになります。

+の手の周辺は親水基と呼ばれ、水を強くつなぎ止めることができるため静電気の発生を抑えることができます。

成分 全成分表示の表示名 働き
カチオン活性剤 ステ
アルトリモニウムブロミド
セトリモニウムブロミド
ステアルトリモニウムクロリド
セトリモニウムクロリド
静電気帽子作用、毛髪を柔らかく、しっとりさせる作用。
クリーム基材 セテアリルアルコール
セタノール
クリーム状トリートメントのベース剤。
乳化剤(ノニオン活性剤) セテスー2,6,10,15,20
オレスー2,10,15,20
油性成分を可溶化、乳化する作用。
コンディショニング剤 油性、脂性成分 オリーブ油、ホホバ油、アボガド油
スクワラン
ミリスチン酸イソプロピル
イソステアリルアルコール
オレイルアルコール
油性成分を補い、しっとり、滑らかにする作用。艶を出す。
卵黄油、ラノリン
ダイズステロール、コレステロール
セラミド3
脂質成分(毛髪CMC成分)を補い、保湿成分を高める作用。毛髪細胞を接着させる作用。
シリコン、高分子ポリマー ジメチコン
ポリクオタニウムー10
キトサン
すべり感を高める作用。毛髪保護効果。
毛髪保護タンパク、アミノ酸成分 加水分解ケラチン
加水分解コラーゲン
加水分解シルク
加水分解コムギ、加水分解コムギタンパク
加水分解ダイズタンパク
グルタミン酸、アルギニン、PCA
間充物質、キューティクルの保護、保湿の効果
pH調整剤(酸) リンゴ酸、クエン酸、乳酸、コハク酸 pHコントロール効果、アルカリ中和作用


☆パーマ1剤成分
成分 働き
還元剤 チオグリコール酸類
システィン類
亜硫酸ナトリウム(化粧品)
システアミン(化粧品)
チオグリセリン(化粧品)
ラクトンチオール(化粧品)
毛髪中のシスチン結合(S-S)を切る
アルカリ剤 強アンモニア水
モノエタノールアミン
炭酸水素ナトリウム
炭酸水素アンモニウム
L-アルギニン
毛髪を軟化、膨順させて、
還元剤の浸透を促進する
還元剤の反応性を高める
コンディショニング成分
毛髪保護成分・タンパク・
アミノ酸
油分・脂質成分:オリーブ油など
樹脂・高分子ポリマー:カチオンポリマー系
タンパク・アミノ酸:加水分解ケラチン
グルタミン酸
シリコン
手触りを滑らかにする
毛髪内部に栄養を補給する
その他 界面活性剤
キレート剤:エデト酸ニナトリウム
防腐剤:メチルパラベン
製品の品質を守る

☆パーマ2剤成分
成分 働き
酸化剤 臭素酸ナトリウム(ブロム酸)
過酸化水素(2.5%以下)
切れたシスチン結合を
結びつけて固定する
コンディショニング成分
毛髪保護成分・タンパク・
アミノ酸
油性・脂質成分:オリーブ油など
樹脂・高分子ポリマー:カチオンポリマー系
タンパク・アミノ酸:加水分解ケラチン
グルタミン酸
シリコン
手触りを滑らかにする
毛髪内部に栄養を補強する
pH調整剤 リン酸
リン酸塩
クエン酸
薬剤のpHを保つ働き
その他 界面活性剤
キレート剤:エデト酸ニナトリウム
防腐剤:メチルパラベン
製品の品質を守る


還元
   1、酸素を失う
   2、化合物が水素(H)と化合する
   3、イオンが電子(e-)を取り入れる
酸化
   1、酸素と結合する
   2、化合物が水素(H)を失う
   3、イオンが電子(e-)を失う

パーマネントウェーブ用剤  コールド式と加温式の規格
1剤 チオグリコール酸 システィン
コールド二浴式 加温二浴式 コールド二浴式 加温二浴式
温度 室温1~30℃ 60℃以下 室温1~30℃ 60℃以下
※還元剤濃度 2.0~11.0% 1.0~5.0% 3.0~7・5% 1.5~5.5%
アルカリ度 7ml以下 5ml以下 12ml以下 9ml以下
pH 4.5~9.6 4.5~9.3 8.0~9.5 4.0~9.5
※チオグリコール酸濃度が7.0%以上の時は、越えた%分のジチオジグリコール酸を配合すること
2剤 臭素酸ナトリウム 過酸化水素
コールド二浴式 加温二浴式 コールド二浴式 加温二浴式
酸化力 3.5以上 3.5以上 0.8~3.0
過酸化水素濃度
2.5%以下
0.8~3.0
過酸化水素濃度
2.5%以下
pH 4.0~10.5 4.0~10.5 2.5~4.5 2.5~4.5

チオグリコール酸の種類
チオグリコール酸 チオグリコール酸単独では、酸性(約pH1.5)である。パーマ剤には、一般的に
アルカリで中和したものを使用している
チオグリコール酸アンモニウム液 チオグリコール酸をアンモニアで中和したタイプ
チオグリコール酸モノエタノールアミン液 チオグリコール酸をものエタノールアミンで中和したタイプ

システィンの種類
L-システィン 天然アミノ酸 中性のアミノ酸で、毛髪を構成しているアミノ酸と同一である。
酸化されてシスチンを生成しやすい
DL-システィン 合成アミノ酸 L-体とD-体の等量混合
L-システィンよりシスチンを生成しにくい
N-アセチル-
L-システィン
合成アミノ酸 L-システィンより合成。L-システィンよりかかりが弱くなるが、
併用することでL-システィンの結晶化を抑える
塩酸L-システィン 天然アミノ酸 水に対する溶解性を上げるためにL-システィン、DL-システィンを
塩酸で中和したもの。また、塩酸塩にすることで、シスチンの生成を抑える。
しかし、塩酸塩をアルカリ剤で中和しなければならない。
塩酸DL-システィン 合成アミノ酸

還元剤の特徴
☆チオグリコール酸      最も一般的かつ効果的で作用が安定している
HOOC-CH2-SH                   (分子量:92)
(医薬部外品)

☆システィン            毛髪に含まれるアミノ酸の一種。マイルドな還元剤。
HOOC-CH-CH2-SH               (分子量:121)
      │
     NH2
(医薬部外品)

☆システアミン          低pHでチオグリコール酸なみにかかる。ただし、配合量に上限があり、実際は
H2N-CH2-CH2ーSH     高pHの商品が多い。また髪に強い臭気を生じることもある。
(化粧品 1.6%以下)                (分子量:77)

☆サルファイト          化粧品用途の還元剤としてはSH基を持たない還元剤なのでとてもマイルドな還元力で
Na2SO3              褪色も少ない。美容の薬剤としては歴史が長く、目薬やワインの酸化防止剤に使われ
(化粧品4%以下)         るなど皮膚や身体への影響が少なく安全性が高い。
                               (分子量:126)

☆チオグリセリン         臭気、残臭が強い。低アルカリ量で高pH(9付近)にでき、
CH2-SH              チオなみにかかるため同じpH・還元力が同じチオと比べてダメージが少ない。   
 │                   中性域ではかかりが弱い
CHーOH                          (分子量:108)
 │
CH2ーOH
(化粧品2.3%以下)

☆ラクトンチオール        非常に強い不快臭がする。酸性領域でアルカリのシスなみにかかる。
     O               構造内に親水性の部分と親油性の部分を持つのが特徴。水溶液にすると
     │               短時間で分解してしまうため、使用時に適量混ぜて調整または用時混合
    /\                しなければならない。アルカリ領域では分解してしまう。
   O   -SH                     (分子量:118)
   \_/
(化粧品2.5%以下)

アルカリ剤の種類と特徴
アンモニア 揮発性のため刺激臭はあるが、毛髪への残留が少ない。反応が早く、ブリーチ力が強い。
モノエタノールアミン 不揮発性のために臭いは少ないが、毛髪への残留が高い。反応が遅く、ブリーチ力は弱い。
炭酸水素アンモニウム 炭酸とアンモニウムでつくられた弱アルカリ性のアルカリ剤。施術時間の経過と共に炭酸が
揮発して、アルカリが強くなり、反応が強くなる。
アルギニン 塩基性アミノ酸の一種で、毛髪との親和性が高い。アルカリ剤の作用としては弱く、
反応は穏やかである。

パーマ剤による毛髪ダメージ要因
損傷 要因(原因成分)
キューティクルの剥がれ 還元剤+アルカリ剤
pHの変化とイオン結合の切断 アルカリ剤
間充物質の溶出 還元剤+アルカリ剤
ケラチンタンパクの変性 熱(アイロン)                 

薬剤選定のポイント
◎硬毛は軟毛に比べてキューティクルの枚数が多く薬剤が作用しにくいため高アルカリの薬剤が必要
◎根元 中間部 毛先に行くほどダメージで毛髪中の間充物質が溶出してシスチン含量が減少してくる。そのため
  還元力を抑えなければならない
◎毛先に対して過剰なアルカリはダメージの原因になるので、低アルカリの薬剤を使用。
◎還元剤の種類と還元力、アルカリ剤の種類と量、pHが影響

ストレートパーマの繰り返しによりダメージした毛髪はキューティクルの溶融と硬化、剥離が特徴的。キューティクルが剥がれ落ちてしまっている毛先には熱によるコルテックスの硬化がみられます。毛髪がこのような状態になってしまうと、ヘアカラーが染まらない、パーマがかからないといった現象が現れます。
 あくまでアルカリによるキューティルへの負担は少なくしながら、アイロンの熱の力を借りて毛髪内部の構造を整える手法が有効。アルカリ剤は毛髪内部への薬剤の通り道を作るために必要最小限の量とし、アイロン施術は主に膨潤と軟化によって動きやすくなったコルテックス細胞やマトリックスタンパクの移動といった毛髪の内部構造変化を手助けする役割を持ちます。アルカリ剤を減らすことで熱によるキューティクルの負担も減り、タンパク変性が少なくなり、柔らかく自然な仕上がりが可能。


カラー

メラニン色素と髪色
 髪の色はメラニン色素の種類と量によって決まります。色素が大きくなったり、量が多くなると光を吸収して髪は黒く見えます。逆にメラニン色素がほとんどないと光を反射して白く見えます。
 メラニン色素が毛髪の重量に占める割合は約4.5%以下です。0%になると真っ白に見えますが、極端にブリーチした髪や、薄い黄色に見える白髪などには、メラニン色素が僅かに存在します。

メラニン色素の種類と量
 髪色と明度を決めているのは、毛髪中のメラニン色素の種類と量です。
 メラニン色素には、ユウメラニン(真メラニン)とフェオメラニン(亜メラニン)の2種類があり、その量のバランスによって毛髪の色は決定されます。
                  ユウメラニン(真メラニン)-黒~褐色
                  フェオメラニン(亜メラニン)-黄~赤色
  赤毛はフェオメラニンがリッチですが、黒髪やブラウン毛、ブロンド毛はフェオメラニンの量に大きな差は認められず、ユウメラニンの量の違いが影響している。
                  黒髪ーフェオメラニン(少)、ユウメラニン(多)
                  ブロンド毛ーフェオメラニン(少)、ユウメラニン(少)
 ユウメラニン(真メラニン)は水に溶けない高分子ですが、強いアルカリ溶液には少し溶解して黄褐色の溶液となります
 黒髪をブリーチしていくと、ユウメラニンがまず壊され、アンダートーンが赤色からオレンジ色に変化していきます。さらにブリーチしてしていくと、オレンジ色から黄色に変化していきます。

 明度を決めるのは毛髪中のメラニン色素ですが、赤褐色のユウメラニン(真メラニン)をブラウンカラー、フェオメラニン(亜メラニン)を色相として置き換えることにより多種多様のブラウンを作ることができる。
 ユウメラニン(真メラニン)は彩度を持ちませんが、フェオメラニン(亜メラニン)は彩度を持っています。
 ヘアカラー剤には補色が配合されています。フェオメラニンの黄赤色の持つ彩度をコントロールして、多種多用なブラウンを表現。

メラニン色素はアミノ酸(チロシン)が酸化酵素(チロシナーゼ)により、酸化重合して作られます。メラニン色素は有害な紫外線から頭部や体を守る働きがあります。メラニン色素はメラノサイト(色素細胞)で生産。

レベルとは髪の明度(明るさ)
トーンとは髪の明度(明るさ)+彩度(鮮やかさ)
アンダートーンとは黒髪をブリーチしていくと、残留しているメラニン色素によって見えるトーン
 BV→V→VR→RV→R→RO→OR→O→OY→YO→Y・・・・・・・PY
アンダーカラーとは髪に残留している染料による色味

三原色(第一原色・プライマリーカラー)-赤・青・黄
第二原色(セカンダリーカラー)-橙・緑・紫
中間色ー三原色、第二原色を混ぜ合わせてできる色
補色ー色環図上で対角線上にある正反対の色同士
  絵の具ー補色同士混ぜあわすと→無彩色(黒・灰)
  ヘアカラー→ニュートラルブラウン


一時染毛料(テンポラリーカラー)
 顔料(水に溶けない)を樹脂やクリームに分散して毛髪に塗布し、物理的にキューティクルの表面に吸着させたもの。
  カラースプレー・カラーマスカラ・カラーパフ
 分類は化粧品。

半永久染毛料(セミパーマネントカラー)
 毛髪のイオン性(pHによって髪の等電点の電荷状態が変化する)を利用して染毛するヘアカラー。ヘアーマニキュア。
   等電点を境にpHが低くなると髪は+の電気を帯びます。逆にpHが高くなると髪は-の電気を帯びます。薬剤pHが    酸性のヘアマニキュアを髪に塗布すると、髪は+を帯び、そこへ-の電荷をもった酸性染料が電気的な力で結合     。(イオン結合=+と-は引き合う)
     分類は化粧品。最近は酸性染料以外にも、塩基性染料、HC染料、分散性染料等

永久染毛料(パーマネントカラー)
植物類や金属類を利用したものや酸化染料を使用。
美容業界でもっとも使用されているのは酸化染料を使用した酸化染毛剤。
毛髪に浸透した酸化染料が酸化されることにより発色
種類 主原料 pH 特徴 傷み かぶれ 分類
一時染毛料
テンポラリーカラー
顔料 中性 カラースプレー、マスカラ
染毛は簡単
表面着色
1回のシャンプーでとれる
化粧品
半永久染毛料
セミパーマネントカラー
酸性染料
塩基性染料
HC染料
酸性~
アルカリ性
ヘアマニキュア
色鮮やか
色持ち不良
化粧品
半永久染毛料
パーマネントカラー
植物類 酸性 ヘナ、インディゴ
染まり薄い
化粧品
金属類 酸性~
アルカリ性
鉄+タンニン酸
パーマがかからなくなる
医薬部外品
酸化染料
(2剤式)
強アルカリ 明るくなるヘアカラー
色持ちが良い
医薬部外品
弱アルカリ 強アルカリより、ダメージが少ない
ヘアカラー
色持ちが良い
医薬部外品
弱酸性 アルカリによるダメージのない
ヘアカラー
色持ちが良い
医薬部外品

酸化染料は分子(粒子)が酸性染料などよりは小さいですが、キューティクルの隙間よりは大きいために簡単には毛髪内部へは浸透できません。但しアルカリ剤や界面活性剤の働きにより毛髪内部まで浸透し、、2剤の過酸化水素の分解により発生した強力な酸化力にyり染料が酸化され手と手を結び長い鎖のようになり発色します。これを酸化重合といいます。毛髪内部でできた長い鎖は粒子が大きいため簡単に毛髪外部へは出にくく、いつまでも留まっているために色持ち良好。

1剤には酸化染料、アルカリ剤、界面活性剤が含まれ、2剤には過酸化水素が含まれている。
1剤と2剤を混ぜ合わせることで、浸透、ブリーチ、発色の3つの作用
 まず1剤のアルカリ剤と界面活性剤の働きで薬剤に含まれる各成分が毛髪内部に浸透。次に1剤のアルカリ剤と2剤の過酸化水素によって発生する強い酸化力によりブリーチ(メラニン色素が分解され脱色すること)が起こり、髪が明るくなっていく。さらに酸化力により酸化染料が酸化重合(染料同士が結合して大きくなること)して発色が始まる。
実際はこれら(浸透・ブリーチ・発色)の3つの働きが髪の中で同時に起こり、髪は染まりますが、1剤と2剤は混ぜ合わせるとすぐに発色が始まるので、混ぜる時間、髪に塗布する時間も合わせて、手早い施術が大切でヘアカラーは時間との勝負。
 過酸化水素は酸性の条件下(pH2~3)では安定ですが、pHが高くなり、アルカリ性の条件下になる急激に分解し酸素を発生して、強い酸化力が生まれます。

 髪の内部では、ブリーチと発色は同時に行われていますが、ブリーチ作用は酸化重合して発色した染料に対しても作用してしまいます。これを脱染作用といいます。
 過酸化水素の作用によりメラニン色素の脱色と酸化染料の発色および脱染が進み、最終的な髪の仕上がりの明度と色になります。

直接染料
 ニトロ染料とも呼ばれており、元々赤味、黄色などの鮮やかな色味を持った染料です。この染料は酸化重合しないタイ プなので、小さい染料粒子がそのまま毛髪に浸透したり、物理的に吸着したりして発色します。
中間体
 色のベースとなる染料のことで、過酸化水素で酸化されて粒子が大きくなり発色します。中間体同士、中間体とカプラ ーの結合により幅広い色相、彩度が作られます。
カプラー
 中間体とだけ結合して発色する染料のことで、過酸化水素で酸化されて大きくなりますが、そのもの(染料単体)だけ  では発色しません。カプラーの違いでいろいろな色が作れます。
脱色剤 脱染剤
毛髪中のメラニン色素を分解すること
(ライトニング剤)

染まりにくい髪を明るくしたい
髪を明るく染めたい
毛髪中で酸化重合した酸化染料を分解すること
(ブリーチパウダー)

染料を取り除きたい
暗く染まったヘアカラー毛を明るくしたい
脱染剤使用後のカラーリングにおいては、脱染剤が髪に残留しているとヘアカラーの発色が弱くなったり、発色しない
ケースがあります。脱染剤使用後はよくすすぐか、シャンプーでよく洗い流してからヘアカラーを施術すること。

ヘアカラーはブラウンコントロール+アンダーコントロール+トーンコトロールの3つのコントロール

ブラウンコントロール→明度の調整。髪色に近い各色相のブラウンの強弱を調整することにより可能
アンダーコントロール→アンダートーンの調整。捕色や中間色となる全ての色相を適宜使用することにより調整可能
トーンコントロール→ティントの調整。明度と彩度を操作。

2剤
※カラーのオキシもパーマのオキシも過酸化水素という酸化剤です。
カラーは通常3%と6%を用いますが、パーマやストレートの2剤は1.5%が適濃度だと思います。
一般的な話ですが過酸化水素は鉄などが入った水と混ぜると分解が進んでしまいます。またアルカリでも分解は進みます。

※パーマ2剤でブロム酸と過酸化水素を混ぜるのは間違った使用方法です。
分解の性質が正反対(ブロム酸は酸性過酸化水素はアルカリ)の2つを混ぜることは間違っています。

※過酸化水素の2剤にお塩を1%ぐらい入れたほうがウェーブをしっかりさせる効果があります。

※パーマ2剤前のドライは、2剤前に乾かすことによって、ロッドに巻いた髪が収縮しますので、テンションが強くかかることでウェーブのリッジをしっかりさせることができます。オイル系を使用するならオイルの影響で乾き難いので、ドライヤーを一度入れるのであればオイル系の前がいいと思います。この方法は2剤が過酸化水素の場合の時だけです。

※パーマが終わった後のドライをよく乾かさないというのはよくありません。なぜなら2剤によるS-S結合の戻りは施術時間内で完全に終わっていないことも考えられます。特に2剤が過酸化水素の場合、ドーナッツ状にS-S結合が戻り、真ん中が戻っていないことが考えられます。その場合、乾くにつれてウェーブが伸びたとすると、伸びたところでS-Sが再結合してしまうことがあります。ベストなのはきちんと乾燥させることです。

※ストレートや縮毛矯正はダメージが強くなりやすいので、2剤にシリコーンポリマーを使用することが多くなりました。特にトリートメント効果もプラスする目的で、アミノ変性タイプ(カチオン)のシリコーンポリマーが配合されたものが多くなりました。このような場合、髪を強いカチオン(プラス)をもったポリマーでコートしますので、つづいてアニオン(マイナス)の薬剤(シャンプーも含む)が付くと、この逆の性質の薬剤がイオン結合しますので、風合いが悪くなったり、カスのようなものが髪に残ったりすることが起こります。

※中間水洗は混合ジスルフィドを予防し、還元剤やアルカリを除去し、ランチオニンの生成を予防します。また過酸化水素2剤の発熱も予防します。とても大切です。

中間水洗をしっかりと行い、水気をタオルでよくとり、高分子ケラチン、ヘマチン、キトサン、そしてドライヤーでドライ後
ブロム酸2剤をつけるのは、乾いたときの形を記憶させるためです
。細い髪は濡れているときはウェーブがあり、乾くとウェーブがなくなる傾向があります。これは髪のロッドを巻いているロッドを巻いている側と外側のテンションが異なっているためです。「雨の日にウェーブが強くなる」のはロッドを使ったパーマは、内側より外側のほうがダメージが大きいために、外側が水を吸いやすく、外側が膨潤するために湿気があるとウェーブが強くなるということです。
 細い髪は乾燥毛で、髪自体には力がにので、外側が水を放しすぎて伸びてきてしまうわけです。そこで内側にもテンションをかけて、どちら側もテンションをかけることで水がなくなるとき(ドライにするとき)に、どちら側も縮んでくれる(テンションをかける)、つまり、乾いたときの状態を記憶させるという方法をとるのです。
 この方法の欠点はテンションをかけるということです。つまり髪にダメージの負担がかかることです。しかしPPTなどで保護する技術があれば最小限にすることもできます。ロッドはテンションをかけないようにと習ったと思いますが、そのテンションを活かす方法もあるのですね。

※パーマの2剤や酸リンスを温めて使用するのには2つの理由があります。
まずは薬剤浸透性を良くする目的です。髪に中への薬剤の浸透は温度が鍵になっていますから加温したりするのも同じ意味です。
 また温まった頭皮に冷たい液がつくとお客さんはドキッとします。したがって、頭皮ひんやり冷たい液がつくとこを避けるために温めていることも考えられます。
 注意としては酸リンスは問題ないのですが、そのまえに中間水洗(アプリケーターでお湯をかけて1剤を流す)もしてくださいね。酸リンスを使用するときは2液はブロム酸だと思うので、ブロム酸は温めてもいいですが、過酸化水素は温度が高いと髪を傷めますので気をつけてくださいね。(1剤はアルカリが強いので、最初から温めたものを使用すると、反応がはやくなり髪が傷みやすいので温めたりしないです。最初と最後に塗った髪の軟化が違うと問題です)
ランチオニン結合

髪は主としてケラチンタンパク質からできています。そのケラチンタンパク質はアミノ酸が数珠やネックレスのように数千個連なったものです。アミノ酸は1つの物質ではなく20種類のいろいろなものがランダムにつながってタンパク質になるのですが、ケラチンはシスティンというアミノ酸を10個に1個ぐらい使って数珠のようなタンパク質を作っているのが特徴です。

システィンはSHという手を持っていて、他の場所のSHという手とつながることができます。
それがS-S結合と呼ばれるものです。

髪の毛はできたときはSH型のケラチンでドロドロな液体なのですが、それが固定部という場所で空気に触れて酸化され、S-S結合によってケラチン分子同士お互いが結びつくことにより固体になり、毛として毛穴からでてくるのです。

パーマはそのようにしてできたS-S結合を3割ぐらい一時的に切断(還元)して形を変えて、酸化して離れた手をつなぎなおして再度髪を固めることをしています。

ランチオニン結合というのは強いアルカリに髪が侵された場合、S-S結合が化学的に分解されて、一方のシスティンがデヒドロアラニンというアミノ酸に変わってしまいます。一方のシスティンはそのままです。さらにデヒドロアラニンというアミノ酸はシスティンと反応してーS-結合、つまりランチオニン結合となって、再度離れた手をつなぎます。

正常な状態であれば、S-S結合でつながっていたケラチン同士が、-S-結合でつながってしまうということは、そのケラチン同士は還元剤(パーマ1剤)で再び切断することができないことになりパーマがかからない髪ということになるわけです。

この方法でアフリカの人がアルカリの強い土を水で粘度のように練って髪につけて、髪をストレートにしていたのですが、二度とパーマはかからなくなります。

ランチオニン結合は強いアルカリで出来てしまいますが、熱が必要というわけではないのです。
ストレートが伸びないのでアルカリの強い1剤に40分とか1時間とか漬けているというのでも充分にランチオニン結合はできます。伸びないので軟化時間を長くおいた髪ほど2度とパーマかからなくなるのはランチオニン結合の影響です。

アイロンの熱を処理している時は、髪は強いアルカリに侵されてはいないので、新たにランチオニン結合が生まれるというより、すでに還元処理で作られたデヒドロアラニンとシスティンが反応しやすくなります。
したがって、1剤処理でデヒドロアラニンを作らないように気をつければアイロンでランチオニン結合ができてしまう心配をしすぎることはありません。

ただし、どうしても熱によるタンパク変性は起こりますので、アイロンでのばそうとするのではなく1剤で伸ばすことを考えたほうがよいです。熱によるタンパク変性を最小限にすることが大切です。

縮毛矯正

水素タイプのくせ毛というのは
水を吸わせるとクセが伸びてまっすぐになるのに、乾くとクセが出てきます。

このような人は髪を作っているコルテックスが2種類あると考えます。


その2種類のコルテックスは、水を吸っているときのサイズは同じだけれど、乾燥したときのサイズが違うコルテックスで、あまり収縮しないものを疎水性コルテックス、水を離して収縮してしまうものを親水性コルテックスといいます。

濡れているときは同じ大きさなので直毛になっていますが、乾燥して水が離れると縮み方が違うので髪がくねくねとくせ毛になります。

親水性コルテックスは、水をよく吸いますので、パーマ液もよく浸透して軟化が早いです。

疎水性コルテックスは、水が入りにくいですから、薬液が入らない。
白髪のような状態です。

その2種類のコルテックスがある髪を軟化してアイロンでストレートにしたときに、水の吸い方を同じレベルにしなくてはドライしたときにまたクセが出てしまいます。

親水性と疎水性のコルテックスを同じような状態にすることが実はとても難しい。

そこで水素結合を緩めることをします。白髪のように水を吸わない疎水性コルテックスに薬液を早く浸透させるために水素結合を緩める薬剤が尿素です。でも同時に親水性コルテックスの水素結合も緩めてしまします。そこで高分子ケラチンを使って、親水性コルテックスが水を吸いすぎないように工夫します。


縮毛矯正は第一に軟化が重要!
この軟化は1剤をよく洗い流してドライヤーで80%ドライしていく過程で、水分がなくなるにつれて
クセがでてこなくなるまで充分軟化しておくことがポイント。
 次にテンションをかけないように乾かすことがポイント。
それはテンションによって伸びてしまった髪はアイロンにより毛髪の内部のタンパク変性が起こりやすくなるからです。そうなると、次のパーマがかかりにくくなります。

例えば
ツインブラシとドライヤーで乾かす場合にも、50%まではドライヤーで乾かし、テンションによる髪への影響が少なくなった状態にしておいてから、ツインブラシとドライヤーで80%ぐらいまで乾かすようにします。

あくまでできるだけ、軟化して弱っている髪にテンションをかけないことがポイントとなります。



縮毛矯正のアイロンは
最低限キューティクル表面をガラス転移温度まで上げることでタンパク構造を変化させ、質感として硬くする効果があります。
その変化はタンパク変性を伴っています。その変化の中にはランチオニン結合ができていまうこともあると思いますが、望まない結果としてランチオニン結合ができてしまうことは否定できませんが、タンパク変性のすべてがランチオニン結合ではありません。

例えば
生卵のしろみと、ゆで卵のしろみは同じ卵のタンパク質で分解しても同じアミノ酸から作られていますが、熱を加えることでタンパク変性がおこり、3次元構造が変わるために、液体と固体ほどに変わるわけです。
 この変化にランチオニン結合は関係ありませんが、このような3次元構造の変化が髪の表面部分にできて、ランチオニン結合とは異なる架橋(網掛け構造)も生まれてキューティクルのケラチン構造が複雑になるために、髪も硬くなります。

 このようにイメージとして表面をトーストした食パンのように硬くし、中身はふかふかのパンで保つことで、次のパーマもかかるのですが、食パンを焼きすぎてしまうと、中身まで硬くしてしまいます。内部までタンパク変性させてしまうと次のパーマもかからなくなるわけです。アイロンによって熱と圧力をかけすぎて内部までタンパク変性をさせてしまった場合は確かに髪はストレートにはなっていますが、髪本来の機能はなくなります。

 アイロン後の髪のイメージは、食パンの表面が軽く熱が通って平らでパリッとしているが、中身はふかふかで柔らかい生パンのイメージです。そうすることで2剤の過酸化水素などつけても髪はまっすぐ形を維持できていますので、内部で定着していなかったS-S結合をしっかり戻すことで髪はストレートになるわけです。

 



ストレートになりにくいケース
「濡れている時は、はっきりリッジが出るのに、乾くと広がる」
このような髪は水を吸う箇所吸わない箇所が相当差がある(パーマで水を吸う箇所が相当ダメージしている)ということです。

 毛先のダメージ箇所のS-S結合がきれにくいのは

1、前のパーマでアルカリで長い時間軟化したため
ランチオニンのような還元剤で切れない結合が髪にできてしまった場合。

2、吸水性のムラが激しく、そのムラが均等にしきれない。
また、キューティクルがほとんどないために、アイロンで固定できない場合。


 ランチオニン結合ははずすことはできないので、それ以外の場所を切らなければなりません。
ダメージを蓄積させたのはおそらくチオですので、チオが攻撃できるS-S結合の場所はあんまり残ってないようです。
また、ランチオニン結合でできた形を変えるほどのS-S結合の切断をチオで行うのはビビッてしまうため危険です。
シスはどうかというと、チオとシスの攻撃する場所(水が入り入りやすい場所のS-S結合)は同じですので、効果は期待できません。チオやシスが切りにくいS-S結合(水が入りにくい場所のS-S結合)を切る力があるのは、アルカリのシステアミンです。アルカリのシステアミンはイオン化が少なく、疎水性な性質を持ちますので、水が入りにくい場所に入りやすい性質を持っています。


 吸水性のムラが激しく、そのムラを均等に仕切れない場合、
ダメージして水を吸いすぎる髪の部分と、硬くて吸わない部分の差が激しくなった毛髪を、できるだけ均一な状態にもっていくにはどうしたらよいかを考えます。
硬い部分を攻撃するにはシステアミンのほうが適しています。したがって前処理にはシステアミンを使います。
それだけでは差はまだまだ縮まらないので今度はダメージを受けて、水を吸いすぎる部分を水を吸いすぎないように
(疎水に傾ける)しなくてはいけません。



毛先がぱさつく原因
傷んでいる部分のダメージがどれくらいかによりますが、パサついた結果になったのであれば原因は三つあります。

1、  1剤の毛先過剰軟化
       塗布量と軟化時間が同じであればダメージ部分は過剰軟化になる。
 対処法
   ・毛先のダメージ保護は充分か?PPTの他にヘマチンや酸リンスを利用したり、オイルやトリートメントにキトサンを加えたような酸性トリートメントを使用。
   ・1剤の塗布量あるいは弱いものを用いる。1剤の減力は毛先にシスのみを用いる方法、あるいはチオをPPTなどを用いて2倍から3倍に薄める方法があります。
   ・1剤は同じでも時間を短くします。毛先の軟化時間を短くします。

2、  アイロン前にPPTやオイルで保護したか?
   1剤で軟化した毛先は、膨潤も他よりもしているので、内部からタンパク質やオイルが抜けています。アイロンのような強い熱が加わる場合、中身がなくて急速に水分が乾燥する毛先は強く収縮するので、パサツキの原因になります。中間にCMC、キトサンなどでキューティクルが少ない場合は保護が必要です。

3、  アイロンの温度は下げたか?
   傷んでいる場所は非常に乾燥しやすく、PPTやオイルなどの保護がないと急激に縮むためにチリツキが出やすいくなっています。そのような状態に180度のアイロンがあたればナメクジに塩の状態になります。PPTやオイルでの保護とアイロンの温度を落とすか紙や豚の皮などをはさんで、髪への直接の温度を下げましょう。本当にびびりそうな場合は80度くらいのほうが安全です。

乳化



☆髪が一番開放されているとき

☆中から髪の成分が抜けやすい状態

☆逆に外からPPTやCMCがとても入りやすい状態

☆髪の内部では、イオン結合、疎水結合、水素結合、重合などいろいろな反応が、髪と髪、髪と薬剤、薬剤と薬剤との間で、着いたり離れたり複雑に反応しています。

☆外の環境を濃い濃度にすれば、その複雑な反応のなかに薬剤が溶け込むので、トリートメントなどによって風合いを改良したり、ヘマチンによって架橋できたり、内部からのケラチンの流出を防いだりします。


○1つ上を行く乳化方法^^
  1. カラー後、乳化時にキトサン10倍希釈液を髪全体に10ml~20mlぐらい塗布し揉み込みお湯を溜めてチェンジリンスをする
  2. お湯にキトサンを入れるのであれば、髪の長さやカラー剤の使用量にもよりますが、1ℓのお湯に対して10ml~20mlぐらい。10倍希釈液であれば、1ℓのお湯に対して100ml~200ml。
  3. カラー乳化時にシャンプー台でお湯を溜めて、トリートメントを混ぜて乳化するのであれば、さらにキトサンなどの酸を加えて酸性のトリートメントのお湯で乳化しましょう。


  ※乳化後に髪のpHが7.5~8になれが理想。使っているキトサンをpHを知っておくのも大事。酸で乳化時にキューティクルをある程度閉じておくと、お流しで間充物質やせっかく入れたカラー剤を流出させなくてすみます。





 白髪染めのシャンプーの時の乳化が
              うまく出来ず頭皮にカラー剤が残ってしまう原因

 頭皮はケラチンでできた表皮の上に皮脂膜という脂の層があって、刺激などから防御しながら守っています。しかし白髪染めをする方は、頭皮の皮脂膜が足らない、皮脂膜をしっかり作れない敏感肌の方が多いです。皮脂膜が少ないいうことは、表皮ケラチンがむき出しになっており、ケラチンを染めることができるカラー剤で頭皮も染まってしまうわけです。

 予防としてはお家で3時間以上前にシャンプーしてきてもらうこと。もし、シャンプーをしてからカラーをしなくてはならない場合は頭皮にオイルを揉み込んでからカラーをすること。オイルはグレープシードオイルでも良いです。

 カラーの乳化には酸リンスでチェンジリンスします。PPT等やヘマチンなどの処理剤で乳化した後、洗い流さないで、お湯を適量ためておいて、キトサンなどの酸性の保湿剤をお湯に溶かして、それでチェンジリンスします。そのとき、頭皮のカラー汚れの個所も優しく撫でながら洗います。そして水洗。
 出来るだけ頭皮にはカラー剤はつけないように工夫することは大切ですが、酸を使って汚れをとることもある程度は可能です。ただし、カラー剤がついたままチェンジリンスします。カラー剤を流してから酸でチェンジリンスしても汚れは落ちません。カラー剤の乳化剤で汚れを浮かすために、カラー剤は必要なのです。